MimoZaaの曼荼羅写真館

37.5歳、インドで黙々生きてみた。

「お互い様」

私はこの言葉の本当の意味をインドで知った。 意味というか、重みというか。 昨年、バンガロールでも類を見ない大雨が降り、 たまたま一人で居たビルの周囲が冠水して身動きが取れなくなった夜。 当時はインド企業に勤務していたので、インド人同僚に頼りづらくもあり、 オートリクシャもタクシーも捕まりそうに無く困り果てながら、 テニス部を通じて仲良くさせて頂いていた紳士に電話した。 その方のオフィスは私がいた建物の隣だったから。 もしかしたらいらっしゃるかも、の願いを込めて。 がしかし、電話には出て頂いたものの、呑み会のため既に外出済み。 「もし水が引かなくてタクシーとか捕まらないままなら電話して」と。 また数分後に電話を頂き、 自分は、呑み会で一緒の人に送って貰うから、自分の車を私の迎えに向かわせたから、と。 その日は大雨で冠水した上に、クリケットの試合でいつもに増して大渋滞。 彼のドライバーは2kmを2時間かけて来てくれた。 自分で何とかするしかないし、何とかしよう!と思っていたものの、 帰る見通しも立たない中、彼のその対応には本当に有難く泣きそうになった。 有難くて、有難くて、ありがたくて。 翌日、メールでも電話でもお礼を伝えた。 「本当に助かりました」と。 そしたら、常に穏やかでペースの変わらぬユルフワな彼が、 「困った時はお互い様やろー。だから気にせんでええで。俺も中村さんに助けて貰う事あるやろし」と。 何て素敵な人なんだと思った。 私に気を遣わさないように、配慮ある言葉。 私が彼を助ける事なんて多分無い。 私がお願いする事はあっても。 なのに。 だから、今朝の日本人同僚の救急外来付き添いも、 私は「お互い様」と思っている。 この1年、日本では味わわない風邪で発熱して寝込む事、数回。 その時の日本人の皆さんからのお声掛けや手助けは本当に本当に有難かった。 フラフラヘロヘロになりながらも、自分一人でタクシー呼んで場所を伝えて病院に行くのって、本当にしんどかった。 今は有難い事に電話をすれば出てくれるインド人スタッフがいて、 会社の車もある。 タクシーのように「言葉が通じないから」が理由でお迎え拒否される事も無い。 オトナになって味わう初めての事。 いい年こいて味わう初めてのしんどい事。 インドで体調不良とか、心が折れそうになる。 私が日本人スタッフのお世話係を命じられているからかもしれないけれど、 同僚が私に声を掛けてくれた事は純粋に嬉しかった。 同僚が点滴をして寝ている間に、 保険の話も済ませ、入院手続きをし。 その後、病室へ一緒に移動し、着替えのリクエストを聞き、 家にお邪魔し準備をしてまた病院へ。 私に出来る事はこれくらい。 数少ない私に出来る事を、人の力を借りて最大限に。 私の生き方はそれしかない。